ブログでも度々登場するノルウェートレッキング協会(DNT)について紹介します。
DNTはノルウェー最大のアウトドア関連組織。
150年もの歴史を持つ団体で、30万人の会員がいます。
DNTの会員になるメリットは、なんといっても「DNTのHytte(キャビン)に泊まることができる」こと。
山登りをする人もしない人も、自然に囲まれたノルウェーらしいキャビンに泊まることができます。
薪ストーブで暖をとり、井戸でお水を汲み、ろうそくの明かりの中でご飯を食べる時間は、日常では味わえない面白い体験です。
ノルウェーに住むならDNTの会員になっても損はしないかなあと思っています。
DNTについての紹介、会員になるメリット、会員になる方法などについて紹介します。
DNTについて
DNTとは
DNTはDen Norske Turistforeningの略で、日本語訳するなら「ノルウェートレッキング協会」となるかと思います。
DNTはノルウェー最大のアウトドア関連組織であり、150年もの歴史を持つ団体です。
ノルウェーの人口が540万人なのに対して、DNTの会員は30万人いることを考えると、規模の大きさが伝わるかもしれません。
DNTの仕事
ノルウェーの登山道・スキールートの整備、山小屋運営のほとんどはこのDNTのボランティアなどによって成り立っています。
日本の登山道整備や山小屋運営は、自治体や個人での実施/経営であり、多くの団体・個人それぞれが行っていますが、ノルウェー内ではこのDNTという一つの団体にそれらの活動が集約されています。
登山道整備
DNTが整備しているルートは、登山道が20,000 km、スキールートが7,000kmと非常に広大です。
TマークはDNTのつけてくれた道案内
hytta(キャビン)の運営・管理
この団体が運営しているキャビンを、DNT Hytta、DNTキャビンと呼びます。
日本でいう山小屋やコテージのようなイメージでしょうか。
そのキャビンの数はノルウェー国内になんと550もあります。
基本的には管理人は不在で無人のキャビンが多いですが、定期的にDNTのボランティアが備品の補充や、修繕等に入っており、いつも清潔で快適な宿泊ができるようにしてくれています。
有人で運営されている場所もあり、そのようなところではビールの提供や、夕朝食の提供などが行われています。
ガイドツアーの企画・運営など
DNT主催のハイキングツアーなどが行われています。
シニア向け、子供向けツアーなどの他、独身者だけを集めて実施する婚活イベント的なものや、キャビンに泊まってヨガをする、などのユニークな企画も。
DNTメンバー(会員)になると出来ること
キャビンに会員価格で泊まる
会員になると、このキャビンの鍵を手に入れることができます。
DNTキャビンのある場所は、登山口の麓や山頂、トレイルルートの途中にあったりなど様々。
登山をしない人でも、駐車場などから数分だけ歩けばアクセスできるようなキャビンがたくさんあるので、簡単に自然に囲まれた場所で泊まることができます。
宿泊代金は、会員は1泊300NOK/人(非会員は425NOK/人、ただし会員と一緒に宿泊しないと入れない)
会員の子供は12歳以下は無料、13歳~25歳は50NOKで宿泊できるので、お子さんのいる家庭や学生さんにもおすすめです。
有人のキャビンは1000NOK程度とお値段があがりますが、夕朝食付きでシャワーがあったりなど充実しています。
注意:相部屋と、シャワーなしがダメな人には向かないかも
注意するべきなのは、ほとんどの場所が他の人と一緒に利用する可能性があるということ。
私や夫は、誰かと相部屋になっても地元のノルウェー人やハイカーと交流するいい機会だなと思って楽しんでいますが、苦手な人にとっては向いていないかもしれません。
なお、ベッドルームは複数用意されていることが多いので、キッチンやダイニングを一緒に利用して、ベッドルームは別という場合がほとんどです。
貸し切りで利用したい場合などは、一棟を貸し切り予約できるキャビンもあります。
また、無人のキャビンはシャワーなどは基本的にないので、潔癖症の方には向かないかもしれません。
私たちはそもそも泊まり登山に慣れているのと、ノルウェーは汗をかくほど暑い日があまりないのでシャワーがないことについてはそこまで気にしていませんが…。
自動車保険、旅行保険、ペット保険などの割引
Gjensidigeという保険会社を利用している場合、自動車保険、旅行保険、ペット保険などが割引になります。
自動車保険に関しては最大18%の割引が受けられます。
我が家はこれで年間2,000NOK程度の割引の恩恵を受けているので、DNT会員の年会費は既に回収できています。
その他
DNTのショップでの地図や登山用品の割引(15%)、隣国スウェーデン・フィンランド・アイスランドなどの山小屋の割引、DNT会員誌の無料郵送、DNT主催の登山ツアー等への参加、トーンホテルの宿泊割引などなど、さまざまな会員特典があります。
会費・会員になる方法など
2023年の会費(年間)
一般会員 760NOK
ユース 335NOK(13~25歳)
シニア 595NOK(67歳~)
世帯員 415NOK(一般会員の世帯員対象。子供なし家庭はこちらがお得)
ファミリー会員 1360NOK(大人2人まで+25歳以下の子供何人でも)
その他、生涯会員、子供だけの会費などの設定あり。
会員になる方法
ホームページより会員登録を行います。
ノルウェー国外の人も会員登録をすることができます。
(国外在住の場合、会報誌の送付を希望すると150NOKの送料が必要)
DNTキャビンに泊まってみる
鍵を手に入れる
会員になったら、まずはDNTキャビンの鍵を手に入れます。
鍵は、近くの会員協会にて手に入れることができます。
私はオスロ中央駅近くで鍵を受け取りました。
(登山用品や地図、本などを購入することもできます)
中にいるスタッフに「鍵が欲しい」と声をかけると対応してくれます。
鍵は100NOKのデポジット制。
会員番号を伝えた後、その場でクレジットカードで支払いをして鍵を受け取りました。
鍵は毎回キャビンを宿泊する度に借りたり返却したりする手間はなく、必要がなくなるまで持っていて大丈夫です。
キャビンを予約する
ベッドの空きがなくて泊まれない!などの事態を防ぐため、事前予約をするのがベターです。
UT.noにてキャビンの詳細の情報を確認し、DNTのサイトにて予約・支払いを行うことが多いです。
キャビンの場所は山の中なのか、駐車場からすぐアクセスできる場所なのか、近くの登山ルート・クロカンルート、湖で釣りができるか、キャビンの種類(後述)はどれなのかetc...などをUT.noでチェックして場所を選んでいます。
電気があるか、充電ができるのかなどについても情報を見るようにしています。(書いていない場合もあります)
キャビンの種類
キャビンには3種類あります。
①Ubetjent hytte:無人キャビン
無人のキャビンで、ベッドと、カトラリー・調理道具などは揃っています。
たまに最低限の調味料があったりします。
②Selvbetjent hytte:セルフサービスキャビン(無人)
①と同じく無人ではあるものの、食材の購入ができるキャビン。
パスタ、パンケーキ、スープ、お菓子などを購入することができるので、泊まり登山や縦走などで食料の重量を増やしたくない場合などに重宝しています。
宿泊費用は①と同じ。
③Betjent hytte:サービスキャビン
スタッフのいるキャビン。
価格は1,000NOK~のことが多いですが、夕朝食を食べることができたりタップビールを飲むことができたりと、山小屋というよりはホテルの感覚に近いです。
(宿泊しなくても利用可)
キャビンの例
用途などに合わせたおすすめキャビンがまとまっているページなどもあるので参考になるかもしれません。
- Oslomarkaなどの子連れ向けキャビン(Family-friendly cabins)
-
OslomarkaなどのペットOKのキャビン Ta med hund på hyttetur i marka - DNT
- Hytte til hytte(小屋泊縦走)のルート提案
(夏のJotunheimen)Turer fra hytte til hytte i Jotunheimen - DNT
(冬のHardangervidda)Skiturer fra hytte til hytte på Hardangervidda - DNT
過去記事
宿泊する
宿泊の流れはDNTのホームパージに詳しく紹介されています。
Hytteguide — Den Norske Turistforening
【参考動画】
ホテルなどと違うところがいくつかあるので確認してからの出発がおすすめです。
例:
- 入室したら帳簿に氏名や会員番号を記入する
- リネンは持参する
- ガスの元栓をあけてから火を使う
- 井戸や湖から水を汲む
- 食料などを購入したらDNTのアプリで支払いをする
- 使用したカトラリーなどは洗う
- 出る前に掃き掃除や薪ストーブの灰の始末をする
「子供は井戸から水を汲むだけで楽しいのよね~」と
相部屋していた家族が言っていたのが印象的でした
自然に囲まれたキャビンで過ごす贅沢な時間
ノルウェーでDNTに出会って日本にはない面白いシステムだなあと感動し、すっかりDNTの虜です。
私たち夫婦は山のテント泊やキャンプも大好きですが、DNTキャビンは軽い荷物で遊びにいける気軽さや、冬場の暖かさ・安心感があるところが気に入っています。
大自然に囲まれ、スマホから離れてのんびり過ごす時間が何より贅沢で幸せ。
自然が身近にあり、DNTという素晴らしい組織のあるノルウェーだからこその楽しみ方だと思います。
ご興味のある方は会員になってみることをおすすめします♪
湖の前で焚火をしました