"Trolløypa"というRondaneとlillehammerを結ぶ165kmのトレイルの真ん中のセクションをクロスカントリースキーで歩いてきました。
今回歩いた場所はØksendalen~Hafjellです。
2泊3日で約73km。
クロスカントリースキー1年目の集大成的な旅になりました。
天国のような広い雪原を歩く素晴らしいトレイルです。
概要
・日程:4月1日(土)~4月3日(月) 2泊3日
・天気:3日ともに快晴無風
・アクセス:車:Øksendalenまでオスロから3時間
電車:Ringebu駅で降車し、タクシーで15分程度でØksendalen着
・駐車場:あり、無料。通行料なし。
・宿泊場所
1日目:DNT hytte Vetåbua
2日目:DNT hytte Djupslia
・スタート地点の標高:880m
・距離:72.98km
・獲得標高:742m
ルート
Skisporetにて、Ringebu østfjellで検索
Googleマップ
Øksendalenの駐車場はこのあたり
Trolløypaについて
TrolløypaはRondane国立公園にあるHøvringenから、1994年冬季オリンピックの開催地でも有名なLillehammer(リレハンメル)までをつなぐ、165kmのトレイルです。
英訳すると、Troll løypa=Troll Trail(トロールトレイル)
日本訳するなら何でしょう?
トロールの道、といったところでしょうか。
個人的には、「”トロールの散歩道”って感じだね」と夫が言っていたのがしっくりきています。
トロールは、北欧、特にノルウェーの伝承に登場する妖精のこと。
その姿形は、小人だと考えられていたり、巨人だと考えられていたり様々だそう。
妖精といってもあんまり可愛い感じではなく、結構グロテスクな見た目。
深い森の中に棲みつく精霊的な存在らしいです。
Trolløypaというトレイルの名前の由来が気になったのですが、調べてみたもののはっきりせず。
トロールが棲むような深い森を進むトレイルだからなのか。
はたまた、巨人トロールが歩いて平らになったトレイルのイメージなのか?(進撃の巨人みたい…)
そのうちノルウェー人の友人に聞いてみたいと思います。
1日目:Øksendalen~Vetåbua
Trolløypa1日目はRingebu駅の近くのØksendalenからDNT hytte Vetåbuaまで。
途中、1057mのピークHøgasenに寄り道しました。
広い駐車場からスタート。
天気予報のばっちりな3連休。
ロングコースを歩くにはぴったりの日です。
快晴無風で暑いくらいの日でした。
駐車場には10時半頃到着しましたが、車は10台程度。
(月曜に帰るときには30台くらいは停まっていました。)
日帰りで軽装の人もいれば、テントを載せた大きなソリを引いている人もいました。
無限に広がる雪原を歩く
Trolløypaですが、今回のルートは3日歩いても累計の獲得標高が700m程度と、かなりなだらかな道です。
いままでのクロカンでもノルウェーらしい雪原は何度も目にしていましたが、Trolløypaはまた別格。
無限に広がる雪原、という感じです。
あまりにも広い雪原にびっくり。
そして雪原の向こうに浮かぶRondaneの山々の美しさにため息が出ました。
Høgasenに寄り道
DNT hytte Vetåbuaまであと少しのところですが、Høgasenというピークがあるので景色を眺めるために寄り道しました。
ザックは重たいのでトレイルの端にデポして、空身で2kmちょっと登ります。
Høgasen山頂からはRondaneやJotunheimenが一望できました。
テーブルとベンチがありますがほとんど雪で埋まっていました。
Vetåbua泊
16時過ぎにVetåbua着。
出発も遅かったので、Hytte着も遅くなってしまったなあ。と思いましたが、日の入りが20時なので、みんな18時くらいまで普通に歩いてます。
Hytteについてはまた別途レビューを書きたいと思いますが、今回は「ハーフセルフサービスキャビン」という食料品などを購入できる無人小屋に泊まりました。
初めてのハーフセルフサービスキャビンでしたが、充実した品揃えかつ、値段も普通のスーパーで購入するのと大して変わらないくらい。
こんなに充実しているならあまり自分たちで背負っていかなくてもいいかもしれないなと思いました。
(ただし酒は置いていないので注意!)
連休なのにまさかの貸し切りでした。
Yrのオーロラ予報がLowだったので、ワインをちびちび飲みながら22時くらいまで起きていましたが、オーロラは見えず就寝。
2日目:Vetåbua~Djupslia
Trolløypa2日目はVetåbuaからDjupsliaのDNThytteまで。
Hytteについたあと、荷物を置いてDjupsliaの周りを散策しました。
本日も快晴のスタート
2日目。
朝7時の気温はマイナス15度。
気温が上がってからスタートしたかったので、のんびり朝ご飯を食べて、9時半くらいに出発しました。
2日目も大きなアップダウンはないルートで、お散歩気分の17kmの行程でした。
DNT hytte Djupslia周辺
もうすぐHytteに到着するあたりで魚形の看板を発見。
しかし看板の先に進んだら全然違う建物でした。
DNThytteの案内はあとで別の看板がちゃんと出てきたので、惑わされないよう注意してください。笑
冬道(Vinterløype)はこちらという看板が出てきたら、坂を少し下っていきます。
今度こそDNT hytte Djupslia到着。
Djupsliaもハーフセルフサービスキャビンです。
この日はHafjell方向から来た、おばあちゃんと18歳のお孫さんの二人組と一緒にHytteを使いました。
おばあちゃんは25年くらい前にもDjupsliaに来たことがあるそう。
おばあちゃんの姪っ子さんが東京に住んでいるとのことで、お互いびっくりな出会いでした。
Hytteに荷物を置いたあと、hytteの先にある湖や、Hytteの脇の緩やかな斜面を登ったりして散策しました。
性根が山スキーヤーなので、斜面を見つけるとつい入りたくなりますが、クロカン板だとトレースのない新雪は歩きにくい&滑りにくくて大変。
ストックもスノーバスケットが付いてないので雪に埋まります。
やはりBCクロカン板を買いたいな~と思ったりしました。
3日目はバスの時間の都合で早めに出発したかったので、夕日で赤く染まる山を眺めたあと、まだうっすら明るい21時に就寝しました。
3日目:Djupslia~Hafjell
Trolløypa3日目はDjupsliaからスキーリゾートHafjellまで。
Hafjellのゲレンデからはゴンドラで下り、バスとタクシーでØksendalenにある車を回収しにいきました。
キンキンに寒い8時出発
6時に起床し、夕飯のキムチ鍋の残りに適当にラーメンを突っ込んで朝ご飯。
同じHytteに泊まっていたおばあちゃんがわざわざ玄関までお見送りをしてくれてうれしかったです。
最終日は少し雲が出ていますが、それでもやっぱり風がなく、いい天気。
3日間、快晴無風で山にいれるなんてあまりない経験でびっくりでした。
3日目の行程は下り基調
3日目は長くてゆるい下り坂が多いので、25kmの行程でしたが、あっという間に進んでいけます。
Trolløypaを北から南にいくか、南から北にいくかという問題がありますが、北→南の方が、おそらく下りが多くて楽です。
Rondaneに近づくにつれて、標高はあがっていきます。
Rondaneの山々に向かって歩いていくのも気持ちよさそうですけどね。
Hafjellが近づいてくる
Hafjellが近づいてくると人がだんだん増えてきます。
hafjellは大きなスキーリゾートで、キャビンやホテルがたくさんあります。
最後はスキー場のゴンドラを使って下りる予定にしているので、ゴンドラの標識に従ってスキー場方向へ進んでいきました。
ついにゴール!ゴンドラで帰ります
13時過ぎ、Hafjellスキー場のゲレンデに到着。
スキー客がたくさんいました。
山奥の静けさから、一気に大都会に戻ってきた感じがします。
(白馬の奥地から、栂池に戻ってきたときのような気分…)
バスの時間までかなり余裕があったので、レストランでのんびりビールを飲みながら慰労会。
ゴンドラは、130NOK程度の料金がかかる予定でいましたが、係員のお兄さんに聞いたら、「下りは無料でいいよ。」とのこと。
ゴンドラはかなり広いので、自転車なども乗せることができそうな感じ。
夏はマウンテンバイクでTrolløypaを駆け抜けるのもいいなあ。なんて思ったりしました。
バスとタクシーで車回収、帰宅
さて、今回はクロカンルートの入口と出口が違うところなので、車の回収に向かいます。
HafjellからRingebu駅まではバスで。
RingebuからØksendalenの駐車場までタクシーを使いました。
バス
乗車区間:Hafjell alpinesenter~Ringebu skysstasjon(50分)
路線:142番 Lillehammer~Otta便
便数:月~金まで1日に5本。土曜は1本。日曜は運休。
2023年4月の時刻表だと、8:40、10:04、14:48、16:12、17:48に出ています。
土曜は14:48。
料金:片道66NOK/人(意外と安い…)
Googlemapで出てくるバスの時刻は古いデータだったので、バスの運行会社の時刻表を参考にするのが良いと思います。
チケットの購入方法なども載っています。(アプリで購入しました)
参考: Innlandstrafikk
日曜日の場合は、リレハンメルまで出て電車などを使うか、HafjellのHPを見て交通手段を調べてみるのがいいのかもしれません。
あとは行きの時点でHafjellに車を回しておくなど。
バスは、大型バスです。
バス下部にザックやスキー板を積み込んで乗車しました。
フットレストやUSBケーブルを差せるところがあって快適でした。
タクシー
Ringebuの駅前のタクシー乗り場に何台か駐車していることが多いようです。
(土曜朝10時は5台程度駐車、月曜15時は2台駐車していました)
私たちは当日バスに乗る時刻が分かってから、念のため電話で予約しておきました。
RingebuTaxiという会社を使いました。
駐車場までは20分弱程度、料金は368NOKでした。
Trolløypa総括
3日間、天気に恵まれて、素晴らしいトレイルを堪能できました。
こんなに広い雪原が永遠と広がるノルウェーの地形ってすごいなあ。と終始感動しっぱなしでした。
今回、私たちはクロスカントリースキーの使用だったので、整備車の入らない場所を歩くRondane Høvringenからのスタートはやめましたが、いつかBCクロカン板ですべてのルートを歩き通したいなと思います。
ネットで調べると、6~7日間でTrolløypaをすべて歩くツアーコース(荷物輸送付き)が紹介されているのですが、1日のうちにもっと長く歩くことができて、宿泊先の都合がつけば、もっと短い日程ですべて歩くことも可能かな?と思ったりしました。
Pakketur på ski fra Rondane til Lillehammer med bagasjetransport | Discover Norway
今の私たちは25kmくらいの行程を4~5時間で進めるくらいの技術レベルですが、すれ違うノルウェー人は私たちの倍くらいのスピードでどんどん進んでいきます。
また、春先は日照時間が長くて行動時間が長くとれるので、天候が安定していて、体力さえあればもっと長時間歩けると思います。
来年あたりにはもっと速く進めるようになっていて、さらなるロングルートを歩けるようになっているといいなあと思いました。
おまけ:泊まりクロカンでソリを使うか
ノルウェーの山、特にクロカンで行けるようなところは、日本の山のように急斜面はなく、ほぼ平らなので、ソリの利が生きる地形をしています。
さらにクロカン板は自分の体重に合わせた板を使っているので、重たいザックは背負わない方がベター。
とはいえ、個人的には、2泊3日の小屋泊程度であれば、ザックでよかったと思います。
簡単に背負えて、滑りに影響が出ない程度の重さのザックなら、ソリよりもパッキングの手間もかからず、小回りもきいて良いのかなと思いました。
今回は私が10kg、夫が15kgくらいのザックを背負っていましたが、いつもよりスピードは落ちるものの、重いのでブレーキが利きすぎる、などの不都合は特にありませんでした。
もし、今回のルートをテント泊で行くのであれば、テントに加えて、マットやシュラフ、ガス缶、調理器具など荷物がかなり増えるので、ソリで行くかなと思います。
ちなみに我が家はULハイカーと対極にいる人種なので、小屋泊でもザックは重いです。
泊まり登山で好き勝手食べて飲むのが何より好きなので、重くても動ける範囲までは背負います。
身軽な方がもっと遠くまで歩けるよな。とは常々思ってはいるのですが…。
おまけ2:泊まりクロカンの持ち物について
雪崩や滑落などのリスクは低いクロカンでも、山の中で遊ぶ以上、低体温症や道迷いのリスクとはいつも隣り合わせだと思っています。
さらに泊まりで行くとなると、日帰りの時よりも山奥に入っていくので、急な天候不良や、体調不良・怪我を想定した準備はより入念にする必要があるかと思います。
夫の同僚曰く、クロカンでも、吹雪で道が分からなくなり、ヒュッテのすぐ近くでも遭難してしまう事故があるとのことでした。
冬山登山をする人、雪国育ちの人にとっては想像しやすいことだと思うのですが、慣れていない人のために念のための注意喚起…。
(私自身が山スキーをするまでは、吹雪の中だとゴーグルなしでは目を開けていられないな、とか、ダウンは濡れると使えないからハードシェルがないとダメなんだな。とか、全く分からなかった人なので…。)
UT.noに冬ツアーのパッキングリスト、というコラムがあったのでリンクを貼っておきます。
以上です。
明日からまたスキー旅行に出かけてきます。