ノルウェーでの初めての秋。
ベリーとともに、キノコ狩りにも挑戦中です。
日本にいたときに登山しているときも、詳しい方が一緒にいれば教えてもらったりしていたものの、あまり積極的には勉強してこなかったキノコ。
ノルウェーにはキノコが生える森がそこらじゅうにあり、自然享受権のもと誰でも採ってOKなので、ちょっとずつ勉強中です。
今回は場所探し、持ち物、Soppkontroll(鑑定所)、万が一体調が悪くなった際の対処などについて書いていきます。
最後に収穫したキノコについて書いています。
※※多くの人が知っているように、キノコには毒があるものが存在します。
ベリー摘みや山菜採り以上に、キノコを間違うことは命に関わるので、種類の判別ができないキノコは採らない、経験者と同行する、など十分に注意を払って楽しみましょう。
記事は参考程度に、自身で情報収集をしてください!
キノコが生えている場所探し
その辺の公園や街路樹の脇でもしょっちゅうキノコは生えていますが、適当な場所・森を手当たり次第探すのは時間がかかるので、Artskartを活用しつつ目星はつけてから探しに出かけています。
とはいえ、そこにピンポイントで必ずあるわけではないので、あくまで場所選びの参考程度で、最終的には採りたいキノコがどんなところに生えやすいのかなどを考えながらひたすら歩いています。
(地面に生えるのか、木に生えるのか、木の種類、日当たりetc...)
また、オスロ近郊でArtskartに載っているようなところはすでに人も多く入っていて採り尽くされているケースも多々あり、Artskartにない場所で見つかることもあります。
Artskartの使い方はこちらで紹介しています。
(採ってはいけない保護区の調べ方も書いています)
キノコ採りの服装・持ち物道迷い防止策
服装
基本的には登山と同じような動きやすい服装で出かけています。
足元がぬかるんでいたりするので、すべりにくく、泥などの入りにくい靴がおすすめ。
持ち物
キノコ狩りの時に特別持参するものは以下の通りです。
- カゴまたは網
キノコが採れたらビニール袋ではなくカゴや網など、通気性のいい入れ物に入れます。
風通しがいいことで、キノコが蒸れない&キノコの胞子が網目から抜けて子孫を残すことができます。
登山中やサイクリングなどでカゴが持てないときは網に採ったものを入れてザックにぶら下げています。
- ナイフ
秋が近づいてくると、XXLやClasohlson、JULAなどのスポーツ用品店・ホームセンターなどにSoppkniv(キノコナイフ)が売られるようになります。
通常のナイフの反対側に、ハケがついていて、キノコについている汚れを落としやすいようになっています。
ナイフは虫食い箇所や、石づきを取り除くときに使います。
- 手袋
虫などがついていたりするので手袋を付けています。
あまり分からないキノコを不用意に触らないようにはしているのですが、毒キノコを触った手で食べるキノコを触りたくないので、ちょこちょこ手袋を交換しつつ探しています。
道迷い防止策
山菜採り同様、キノコに夢中になってどんどん森の奥に入っていくと道に迷います。
私はスマホのGPSアプリ(Strava、Ut.no、Hvor?)などを活用して自分の現在地を確認しています。
電波が入らない場所に行く場合もあるので、事前にダウンロードしてオフラインでも地図が利用できるようにしています。
同行者がいる場合は声をかけあうなどしてお互いの位置を把握しましょう。
アプリの紹介などはこちらの記事でもしています。
Soppkontrollについて
協会の紹介とSoppkontroll
ノルウェーにはNorges sopp- og nyttevekstforbundという団体があります。
キノコや野生の食用植物の知識と利用を促進する自主的な非営利団体です。
英語だとThe Norwegian association for mycology and foragingと呼ぶそうなので、日本語にするなら「ノルウェー菌学・採集協会」的な感じでしょうか。
その協会のボランティアはノルウェーの各所にてSoppkontroll(キノコ鑑定所、識別ステーション)を開いています。
採ったキノコを持ち込むと協会認定の専門家(Soppkontroller)が鑑定してくれます。
判断に迷うキノコなどは専門家に見てもらうのが安心です。
(そもそも見当がつかないものは採らないほうがいいですが)
協会のホームページのカレンダーにはどこのSoppkontrollが開いているかの情報が載っています。
また協会主催のキノコツアーや、勉強できるコースなども開催されています。
(Twitterでフォローさせていただいている方が教えてくださいました!ありがとうございます)
大体毎年8月の初旬~10月末までSoppkontrollが開いているようです。
Norges sopp- og nyttevekstforbundのサイトはこちら(英語サイトあり)
デジタルSoppkontroll
Soppkontrollが開いていないとき、行けないときなどは、デジタルSoppkontrollを活用します。
私はiPhoneのアプリをダウンロードして使用しています。
15:00~19:00の間で稼働していて、キノコの写真などの情報をアプリを使って送信すると、数分後にアプリ内のチャットで鑑定結果を教えてもらえます。
ただし写真だけでは判別できないキノコもあるので、鑑定してもらえるキノコの種類は約20種類。鑑定できないキノコは廃棄を指示されます。
計4枚の写真をアプリに添付して判断してもらいます。
特に4の生えていた場所の写真は撮り忘れないように注意。
なくても鑑別はしてもらえます。
- 手に載せた写真(キノコの大きさが分かるように)
- 傘を上から撮った写真
- 傘の裏側(ヒダ・スポンジなどの部分)の写真
- キノコが生えていた場所が分かる写真(近くの木の種類などが写るように)
デジタルSoppkontrollアプリ(ノルウェー語のみ)
中毒の場合などの対処法、安全に採るには
体調不良時の連絡先
万が一キノコを食べて体調が悪くなった場合や、誤って食べた可能性があるときの対処について、Helsenorgeのサイトで紹介されていたので記載しておきます。
- 中毒症状などが発生した場合や、誤って食べた可能性がある場合→ノルウェー毒物情報センター(24時間)に連絡(22 59 13 00)
- 重症で緊急性が高い場合→救急に連絡(113)
電話をすると、キノコの特徴や採取場所、食べた量などについて説明を求められるそうです。
子供などが誤って口にしてしまった場合などにも毒物情報センターで指示を仰ぐのが良さそうです。
毒キノコのパンフレット
毒物情報センターによって作成されたノルウェーの毒キノコの概要と中毒の症状の説明パンフレットがあります。
25の言語で利用できるようになっています。(日本語はありません…)
多言語で紹介されている背景としては、ノルウェーの毒キノコの中には他の国で食用とされているキノコに似たものが存在しているためです。
キノコを採るときのアドバイス(パンフレットより)
上記の毒物情報センターによって作成されたパンフレットの中には、キノコを採るときのアドバイスが掲載されています。
①100%安全だと確信できるキノコだけを食べる
②未知のキノコは絶対に口にしない。毒キノコでもまろやかな風味を持つことがある
③キノコに関する最新の文献を入手する
④虫食いのキノコや腐ったキノコは全て捨てる
手当たり次第採ったり、よくわからないけど美味しそうだから食べてみる…は危険ということですね。
また、今までは安全だと考えられていたキノコでも、最新の研究で毒があると分かったものもあるので、常に最新情報でキノコを採るのが大切です。
今日までに採れたキノコ
Kantarell
まずは分かりやすいKantarell
ノルウェーでは最も有名・かつ美味とされるキノコのひとつで、フランスではジロールと呼ばれる高級食材です。
8月になってからMenyやCoopなどのスーパーでも見かけるようになりました。
ミカンの皮のような色とヒラヒラした傘が特徴的で、分かりやすいです。
日本の名前ではアンズダケで、香りを確かめると本当にアンズのようないい香りがします。
微量の毒が検出されるとのことで日本では毒きのこに分類されているそうですが、こちらでは普通にスーパーに並ぶくらいのキノコなので欧州スタイルに倣ってグラタンやパスタに入れて食べています。
Steinsopp(ポルチーニ)
高級食材のポルチーニです。
ポルチーニはイタリア語で「子豚」の意味で、その名の通りずんぐりむっくり、丸まるとした形が特徴的です。
ノルウェー語の「Steinsopp」はStein=ストーン・石の意味です。
日本ではヤマドリダケ・ヤマドリダケモドキと区別しますが、ノルウェーでは厳密に区別せず、どちらもSteinsoppと総称されるようです。
若い小さなポルチーニの方が虫が少なかったりして良いとのことですがなかなか出会えていません。今後の課題です。
香り高くて、軽くバターでソテーするだけで絶品。
リゾットやクリームパスタが定番。
Skrubb
日本では「イグチ」と呼ばれる、傘の裏がヒダではなく管孔(スポンジ状)になっている種類の中で、学名が「Leccinum」から始まるものはノルウェーで「Skrubb」と呼ばれます。
ノルウェーでは13種のSkrubbが生息していますが、ノルウェー菌学採集協会のキノコ辞典で食用として載っているのは以下4種類です。
Brunskrubb=ヤマイグチ
Rødskrubb=キンチャヤマイグチ
Svartskrubb=アオネノヤマイグチ
Ospeskrubb(日本に生息しない)
傘の裏がスポンジ状なところはSteinsopp(ポルチーニ)と似ていますが、Skrubbのほとんどは十分な加熱をしないと中毒を起こす可能性があるので注意。
少なくとも15分以上加熱して、味噌汁や蕎麦つゆなどにして食べています。
本を買って勉強中
Norliでセールになっていたキノコの本を購入。99NOKでした。
携帯するのに便利なように耐水性の紙で作られているので、天気の悪い日に外で使っても濡れません。
いっぱい勉強して安全にキノコ採りを楽しもうと思います。
本日は以上です!
私の今年の目標はどこかで松茸を見つけることです。
(ノルウェーにもあるらしいのです!)
キノコシーズンを安全に楽しみましょう。