オスロ郊外の山にMulte(英名:クラウドベリー)を摘みにいってきました。
ノルウェー国内でも貴重なMulte。
旬も短く、結実しない年もある中、今年は豊作だそうで沢山のMulteを採ることができました。
Bærturとは
ベリーを摘みに出掛けることを、ノルウェーではBærturと言います。
Bærはベリー、Turはツアー・旅の意味なので、Bærturは「ベリーツアー」という意味です。
オスロでは7月中旬からブルーベリーなどが採れるようになって、ときどきBærturに出掛けていました。
ベリー狩り、の意味だと、「Bærplukking」と表現されることもよくあります。
ノルウェーで採れるベリー
ノルウェーでは自然享受権という慣習法があり、豊かな自然を誰もが享受できる権利があります。
土地の所有者に損害を与えることなく植物や動物に敬意を払って行動するという最低限のルールを守れば、誰の土地であっても、ベリーやキノコ、山菜などを採ることができます。
平地が多く、ベリーの育ちやすい土壌のノルウェーは様々なベリーが収穫できます。
私が今まで収穫できたのは、Blåbær(ブルーベリー)、Bringebær(ラズベリー)、Markjordbær(野イチゴ)、Blokkebær(クロマメノキ)、そしてMulte(クラウドベリー)の5種類。
またノルウェーでは料理のソースなどとしてもよく使われるTyttebær(リンゴンベリー、コケモモ)も、よく目にします。
Tyttebærの旬は少し遅めの9月以降とのことで、これから収穫できるようになっていきそうです。
そのほかにも色んなベリーが生えています。
Multe(クラウドベリー)について
名称
ノルウェー語ではMulteやMolteと呼ばれます。
英語ではクラウドベリー。
日本語では北海道の幌向にて発見されたことからホロムイイチゴと呼びます。
生えている場所
湿った場所を好むようで、平らな沼地に生えていることが多いです。
Multeの生えている沼はMultemyr、Multemyrerと呼ばれるそう。(Myr=沼・湿原の意味)
Multe摘みのルール
前述の通り、ノルウェーでは自然享受権のもと、誰でもベリーを摘む権利を持っています。
しかしながら、Multeはノルウェーの中でも高級なベリーで、Multeの収穫が経済的に重要な地域では、採集が制限されている場合があります。
ノルウェー国内では、ヌールラン、トロムソ、フィンマルクで摘み取りを制限することができ、「禁止」の看板が出ている場合があります。
ただ、そのような場所でも、摘んでその場で食べるのはOKとのこと。
また、自然保護区として指定されている場所では、上記の地域以外でも採集が制限されている場合があるので、Artskartなどで確認してから行くのがベターです。
食べごろ
Multeの食べごろは、真っ赤な頃かと思いきや、熟していくとだんだん色が抜けていくので、琥珀色になったあたりが良いです。
へたの部分から簡単にぽろっととれて摘むことができるくらいの頃が食べるのに適しています。
真っ赤なころはまだ固くて、実をとりにくく、美味しくありません。
食べごろのMulteはとてもやわらかくて、収穫してボールに重ねて入れていると下の方はつぶれてしまうこともしばしば…。
そのまま生で食べるなら摘んですぐ食べるのが美味しいかもしれません。
味
甘味も酸味もそこまで強くなく、なんだか不思議な味です。
アプリコットのような香り、と表現されることもあるそうです。
ノルウェー人にとっても「珍味」だそうで、好き嫌いが分かれるらしいです。
私は結構好きな味。
ジャムにしてみた
この日は300g弱くらいのMulteを収穫して持って帰りました。
やわらかくてすぐつぶれてしまうので、つぶれていないものはおやつで食べて、残りはジャムにしました。
他の果物のジャムと同様に、ベリーの総量の半分程度の砂糖と、レモン汁を加えて煮たてました。
煮沸消毒した瓶に入れて完成~。
たくさんできたので、冷凍庫に入っています。
ノルウェーでの伝統的な食べ方
クリスマスにはMulteとホイップクリーム、お砂糖を合わせたMultekremというものをデザートで食べるそうです!
クリスマスにまでとっておいて作ってみようと思います。
本日は以上です!
なかなか採れない貴重なベリー。
雪解けが遅く、花が咲く時期に寒くならないことが結実の条件らしく、今年は良い条件が揃っていて豊作の年だそう。
見つけたら食べてみてください♪