しろくま野遊びラボ

ノルウェーオスロ在住 自然豊かな雪国でのアウトドア記録

ノルウェー オスロでの妊娠と出産

ノルウェーのオスロに住み始めて4年目になりましたが、2025年の秋にRikshospitaletにて第一子を出産しました。

個人的な体験談や雑記も含めて、オスロでの出産事情を書き残しておきたいと思います。長くなったので2つの記事に分けます。

今回は特に印象的だったことを4つ紹介します。

次の記事は検診や分娩に関してもう少し細々したことを。

 

ひとまず色々書く前に

外国人の立場でノルウェーに住んでいて、納税しているとはいえ他所の国の医療システムを使わせてもらいながら偉そうに申し訳ないですが、ノルウェーで出産することがすごーーーーく不安でした。

妊娠前も何度か病院にかかったことはありますが、日本よりも診断も治療もルーズな部分を感じることが度々あり、「お産は万国共通と言えど、日本の方が安全だしケアも手厚いだろうなあ。日本で産む方がいいのかなあ」と何度も考えました。

 

実際のところ、検診費用も分娩費用も無料なこともあってか、検診は必要最低限で公的なエコーは2回しか受けられず、産後はボロボロの体で即退院!とだいぶスパルタ。

費用の面と、検診や産後のケアの手厚さの面のバランスで考えると、日本とノルウェーを足して2で割ったらちょうどいいのになあ。と思います。

 

とはいえ、あれだけ不安だったのに最終的にここでの出産はそれなりにポジティブな経験になっていて、もう一人産む機会があったとしてもノルウェーがいいなあと思うようになりました。

 

特に無痛分娩が無料でできて、かつ大きな病院で産めるのはいいところだなあと思っていて、日本のお産は世界一安全だと思っていた私ですが、今では「ノルウェーの周産期医療のシステムは日本より合理的で安全なのでは?」と思っています。

 

あくまでこれから書くことはすべて私の感想ですが、そのうち誰かの参考になることがあればいいなーと思っています。

 

ノルウェーの出産で印象的だったこと

ノルウェーの出産で印象的だったこと、日本と違うなあと思ったことは以下の4つです。

①妊婦検診や分娩費用(無痛分娩含む)が無料

②検診をするところと分娩先の病院が違う

③分娩後の入院期間が短い

④つわりの薬が処方してもらえる

 

①妊婦検診や分娩費用(無痛分娩含む)が無料

出産にかかわる費用のほぼ全てを国が負担してくれるので、公的に受けられる検診や分娩・入院でお会計をしたことが一度もありませんでした。

無料なので色んなことが必要最低限。検診の回数自体も日本より少ない上、無料でのエコーは2回しか受けられません。

私は心配性なので、プライベートクリニックで何回かエコーをしてもらいました。

エコーは1回1,690kr=2025年末のレートで26,000円くらい。高い!

通っていたところはMajorstuenのOslo jordmor- og ultralydklinikk

 

こんなにエコーの回数が少なくてトラブルはないのか?と思うのですが、それでもノルウェーの周産期死亡率は日本と同じくらいなようです。(むしろ世界的に見れば日本のエコーの回数は多過ぎるとも言えるそう。)

 

分娩に関しては、日本で無痛分娩と呼ばれる硬膜外麻酔(Epidural)を使ったお産も無料です。

笑気麻酔やTENS(経皮的電気刺激療法)、針など、硬膜外麻酔以外にも痛みを緩和する方法はあり、もちろん麻酔を使わないことも選べます。

後述しますが、産後は退院がウルトラ早いです。

 

お金関係をざっとまとめると以下の通り

◾️無料

・Fastlege(かかりつけ医)での検診、ワクチン接種

・Helsestasjonでの助産師による検診

・分娩先の大学病院でのエコー2回(私の場合は予定日超過検診があり3回)

・分娩(硬膜外麻酔を使用)と入院費(3泊4日)

 

◾️自費で出したもの

・プライベートクリニックでのエコー

・両親学級の参加費

 

◾️国からもらえた補助金

・NAVからの出産一時金

※収入がある場合は出産一時金ではなく、育児手当(育休中に給与が保証される)

年によって変動がありますが、私の出産のときは日本円換算で160万円程度が一時金としてNAVから支給されました。何でも日本の2倍近くの物価のノルウェーでは、ベビーカーやチャイルドシートなどの大物の購入資金としてとてもありがたかったです。

 

②検診をするところと分娩先の病院が違う

日本だと里帰り出産などではない場合、検診と分娩は同じ産院や病院で実施することが多いと思いますが、ノルウェーだと検診と分娩する場所は別。

検診はFastlegeか自宅近くのHelsestasjon、もしくはその両方で受けます。

分娩はオスロでは基本的にオスロ大学の関連病院であるUllevål sykehus かRikshospitalet の2つの大きな病院に集約されています。(住んでいる場所によってはAhusも)

分娩する病院では妊娠初期・中期にエコーを1回ずつ受けますが、次に病院に行くのは陣痛がきて分娩をするとき。

 

自分の産む病院に2回しか行かないってどういうこと?お産に立ち会う先生に検診してもらえないの?と最初は不安に思いましたが、大きな病院に分娩が集約されているからこそ24時間の無痛分娩に対応できて、お産にトラブルがあったときにも産科医に加えて新生児科医、麻酔科医などのプロフェッショナルが常に複数人いる状態でお産ができると思うと安心感がありました。

無痛分娩は微弱陣痛や分娩停止、吸引分娩などのリスクは通常の分娩より上がるので、小規模の産院が多い日本では産科医ひとりでお産取って麻酔管理して…というのはそりゃハードだし、母子の安全を考えれば無痛分娩を実施しない産院や、計画無痛分娩が多いよなと思います。

実際わたしも麻酔を選んだことに加えてベビーが大きく、回旋異常で分娩遷延して吸引分娩、産後に子宮が収縮せずに大量出血、赤ちゃんの頭には血腫ができて…とトラブル多めの分娩になったので、大きな病院で出産できてよかったと思っています。

冒頭にも書いたノルウェーの周産期医療のシステムは合理的で安全だ、と私が思った理由はこんなところです。

 

ただし、オスロは首都かつ小さい街なので自宅から病院までのアクセスは容易ですが、地方では病院へのアクセスが悪い所に住む妊婦が不利益を被る可能性があるなとは思います。

自宅から病院まで一定の距離がある場合は、陣痛が来たら地域の助産師が車に同乗して病院に向かうというシステムはあるようですが。

日本で分娩の集約化が進まず、地域ごとの小規模の産院でお産を続けているのはこういう問題があるのも一因かと思います。

 

③ 分娩後の入院期間が短い

退院がとにかく早いです!

Ullevålのマタニティホテルのホームページによると初産婦3日、経産婦2日、帝王切開3日が目安だそう。

 

とはいえ、産んだ日から検査以外の時間ずーーっと母子同室になるので、安産で体のダメージが少ないならさっさと退院して慣れている自宅で育児する方が楽なのではとも思います。

病院の枕はペラッペラで寝心地は最悪ですし、Rikshospitaletで産んだ場合は父親が一緒に入院することもできず、母親1人でお世話をすることになるので。

 

私は1日だけ退院が伸びて、産んだ3日後の午後には家にいました。

出血多量でボロボロになり赤子の世話も困難だったので夫も一緒に入院させてくれましたが、尿道カテーテルと輸液が外れて次の日には退院というのはあまりにハードで、流石にもう少し病院にいさせてほしかったです。

ChatGPTに聞いたら日本なら10日くらいは入院するでしょうとのことでした。これはつらかった。

そして帝王切開で3日で退院というのもかなりスパルタすぎんか?と思うのですが、周りに帝王切開で産んだ人がいないので、詳細は不明です。

 

④つわりの薬がある

ノルウェーでは2023年からつわりの薬が承認されて使えるようになっていて、私はこの薬にかなり助けられました。

妊娠がわかった頃から食べづわりが始まり、10週ごろには永遠に続く二日酔いのような気持ち悪さで寝込んで吐いて、1日にリンゴジュースを1杯飲むのがやっと、というような日もあるくらいでしたが、Fastlegeに相談したらすぐ処方箋を書いてくれました。

そして私はその薬がとてもよく効いて、飲んだ日から吐くことはなくなり、1週後には食事もほぼ妊娠前と同じようにとれるようになりました

どうやらつわりが長く続く体質だったようで、薬を飲まなかったり、減らしたりするとまた気持ち悪くて吐くこともあり、最終的に完全に薬をやめても大丈夫になったのは30週に入る頃でした。もし薬がなかったら…と思うとぞっとします。

眠気などの副作用もあり、効くかどうかも個人差はあるようです。入院レベルの重症妊娠悪阻の場合は効かないことも多いそう。

アメリカでは60年以上前から使われている薬で、成分も抗ヒスタミン薬(花粉症などの薬)とビタミンB6とシンプルです。

現在使える国はアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアなどの米欧各国、北欧もノルウェーだけでなくスウェーデン、フィンランド、デンマークなど。

また、アジアではお隣の韓国で使えるようになっています。

日本でも2030年の承認をめどに開発が進められていますが、現状手に入れようと思うと個人輸入しているサイトやクリニックから高額に買うことしかできないので、早く承認されるといいなあと思います。

 

NRKのニュース↓

Legemiddelet Xonvea mot svangerskapskvalme godkjent i Norge

www.nrk.no

 

今回のところはひとまず以上です!

次回の記事でもう少し細々したことを書けたらいいなと思います。

誘発分娩ができず、予定日を11日超過したという日本では割とレアな出産体験にもなったのでそのことも少し書ければ…。