イースターに登頂できなかったノルウェー最高峰Galdhøpiggenに別ルートで登ってきました。
夏も冬も一番メジャーなルートのSpiterstulenという小屋から登り始めるルートです。
快晴の日に初登頂できてうれしかったです。
前回登った時の記事はこちら
Galdhøpiggenについて
Galdhøpiggenはノルウェー、そして北欧の最高峰で標高は2469m。
登山ルートとしてメジャーなのは今回のSpiterstulenからのルートもしくは前回登ったJuvashyttaからのルートです。
Galdhøpiggenが最高峰とノルウェーで認知された歴史は結構最近で、もともと正確な標高が測定されていなかった時代にはSnøhetta(2286m)や Knutsholstinden (2341m) がノルウェーの最高峰であると考えられていました。
その後は、Galdhøpiggenの近くにある現在のノルウェーで2番目に高い山Glittertindenがノルウェーの最高峰とされていましたが、Glittertindenは山頂の氷河の融解により標高が下がり現在のようにGaldhøpiggenが最高峰とされるようになりました。
Glittertindenの山頂の標高は1917年の測定で2481mでしたが、2023年の9月までにすべて溶けたとされ、現在は2452mとなっています。
Spiterstulenについて
Jotunheimenの北部、標高1111mに位置する家族経営の宿泊施設。
長い歴史があり、1800年代半ばには山岳の牧草地に登山者用のゲストルームが用意され、山岳ガイドがいたそう。
220名が宿泊できます。
キャンプも可能です。
SpiterstulenのHPはこちら
2024年のSpiterstulen営業期間
2024年の営業期間は下記の通り。
冬季:3月15日~5月5日
夏季:5月31日~9月29日
私たちが行った日は冬季営業の最後の週末でした。
この期間以外はSpiterstulenまでの道路は通行止めになります。
山行記録
概要
・日程:2024年5月4日(土)
・天気:晴れ
・アクセス:オスロから車で5時間15分(Spiterstulenまで)
・駐車場:あり
・通行料:150kr
・駐車料金:なし
・Spiterstulenの標高:1100m
・山頂の標高:2469m
・距離:19km
・獲得標高:1460m
ルート
Googleマップ
Spiterstulen前の斜面を登り上げる
朝9時頃に駐車場に到着。
Spiterstulenのフロントにてキャンプ場のチェックインを済ませておきます。
フロントではテントに張る宿泊証明と、トイレやシャワーの使用時にキャンプ場利用者が分かるように腕に着けるリボンを受け取りました。
歩き始めたタイミングは10時頃。
日本だとゆっくりすぎですが日が長いので大勢この時間から登っています。
標高1110mから、山頂の2469mを目指してスタートです。
全行程を通しておおむね夏道に近いルートを登りますが、地形によっては夏道だと急なので完全に夏道沿いというわけではありません。
まずはSpiterstulen前の川を橋を使って渡り、右側の斜面を登っていきます。
出だしの100mくらいの登りはやや急。
左側から大きく巻いて登ることも可能で、こちらの方が斜度はゆるいです。
急斜面なので雪質によってはキックターンに難儀しそうなものの、この日はスタートもゆっくりでゆるんだ雪なのでシールがよくききました。
固い日はさっさと背負ってアイゼンでガシガシ登っていく方が早いと思います。
1600m~1800mあたりはやや急ですが、広い斜面。滑りが楽しみ。
2272m Svellnose付近は踏み抜き地獄
一つ目のピークのSvellnose付近は雪が溶けて岩が出ていました。
雪をつないでいくのは難しそうだったので板を背負って進みます。
全部岩ならともかく、雪とのミックスだったのでちょっと厄介。
踏み抜き地獄になっていてこの日の中で一番疲れました。
私たちより体の大きいノルウェー人はさらに踏み抜いていて大変そうでした。
Svellnoseには登り上げずに、東側の斜面をトラバースしてトップを巻きます。
ちなみにSvellnoseのSvellnosebreanを含むお椀型の斜面にはシュプールがついていましたが、登りに使うには急斜面なので、尾根伝いに岩場を登っていく方が安全で楽だと思います。
下りはここを滑って帰りました。
Keilhaus toppに登るとようやく山頂が見えてくる
2355mのKeilhaustoppに登り上げると、初めてGaldhøpiggenの山頂を見ることができます。
ここから山頂はすぐ近くに見えますが、一旦30m下って登り返します。
Keilhaustoppの下は岩場なのでここも板を外して下ります。
最後の150m程度を登って山頂に到着。
ようやく山頂!ノルウェーで一番高いところからの景色
途中で靴擦れしてブーツを脱いだり、のんびりお昼を食べたりしたのでだいぶのんびり行程になりましたが、16時に山頂到着。
お天気に恵まれて、周りの山々や氷河が360度見渡せます。
他のルートを歩く他の登山者の姿も確認できました。
おそらくノルウェーのオートルート、Høgurutaでも通る場所です。
山頂には小屋がありましたが閉まっていた。
夏場はあいているのでしょう。
滑走
下山はPiggebreanという氷河を滑ることも考えていたものの、Spiterstulenまで雪がつながっているか怪しいのと、遅めの滑り出しになったのでなるべく来た道を戻ることにしました。
Svellnose付近の岩場は避けて、Svellnosebrean側を滑りました。
この斜面はもっと雪が固い日は斜度がそこそこあるので怖かったかもしれません。
残りはおおむね登りで使ったルート通りに滑走してSpiterstulenに戻りました。
登り6時間かかったのに、下山は1時間とあっという間。
やはりスキーは速いです。
夏山登山でずっと岩場を下ってくるのは、長くて心が折れそう…。
テント泊
橋の近く(Galdhøpiggen側)にてテント泊しました。
この日は我が家含めて3張。
夏はもっと広範囲にテントが張れるようですが、橋の近くに陣取れると駐車場・トイレなどのアクセスが良さそうです。
翌日は周辺の山域を偵察して帰路に
翌日はお隣のGlittertindenに行ってみようと思っていたものの、そんな元気は残っておらず、のんびり起床してドライブの日にしました。
Jotunheimenの隣のSognefjelletという山域の登山口と小屋の偵察へ。
このあたりも道路脇からいくつも登山ルートが伸びています。
この週末から道路が開通したのでスキーヤーでにぎわっていました。
最高峰からの景色はやはり特別
ノルウェー2年目にしてようやく最高峰に行くことができました。
登り返しもあり、長丁場のルートではありますが、その分山頂に立てた感動はひとしおです。
スキーだと下山があっという間なので、こういうロングルートこそスキーの機動力が生きるなと感じました。
これでしばらくGaldhøpiggenに登ることはないだろうと思っていたら2週間後に再訪することになるのですが、それはまた別の記事にて。
今シーズンのスキーの中で思い出深い1日になりました。