イースタースキー遠征記録その2です。
今回はSunnmøre Alps編です。
フィヨルドからそびえたつかっこいい山々が印象的な山域です。
我が家は完全にSunnmøreが大好きになってしまいました。
①はこちら
5日目(3月27日):移動日 Ålesundへ
Sunnmøreへの転戦
Sognefjordを渡ってSogndalの街へ。
この街は昨年の5月の連休の旅行で訪れているのでなんとなく勝手の分かるエリアです。
Sogndal周辺にも良い山は沢山あり、さらに東に行けばJotunheimenもそう遠くない場所ではあるものの、どうも天気がいまいち。
西海岸、かつ北の方が比較的天気が安定しそうだったので、まったく行ったことのないSunnmøre方面へ行ってみることにしました。
この時点でJotuneheimenやHardangerviddaのおこもり長期山行の望みは消え、積んできたソリもBCクロカン板も使わないことが決定。
こればかりは仕方ないですが切り替えて新しい山域を楽しむことにします。
フィヨルド見ながら移動
5日目は雨模様だったのでノーレフィヨルドとガイランゲルフィヨルドを通ってかわいい港町のÅlesundまで移動。
ガイランゲルフィヨルドの写真スポットの駐車場には山スキー帰りらしき親子の姿が。
どこ行ったの?と聞いたら場所を教えてくれて、どうやらガイランゲルフィヨルドに向かって滑り込める良いルートな様子。
この後の数日間の中での行先候補にさせてもらいました。(8日目に登ったkviteggaを教えてくれました。感謝)
今回の遠征のおかげで、ノルウェー5大フィヨルドをすべて見ることが叶いました。
(ソグネフィヨルド、ガイランゲルフィヨルド、ガイランゲルフィヨルド、ノーレフィヨルド。リーセフィヨルドは昨年Kjeragに行ったときに見ました。)
翌日の水曜日からはイースター休暇でスーパーが閉まるので、数日分の食料の買い出しもしておきます。
保冷バッグを持参し、雪をジップロックに詰めて保冷剤としておきました。
春先は保冷剤の調達が簡単にできるのが助かります。
Ålesundは小さい漁村かと思っていましたが、ユーゲントシュティール様式の美しい街並みの街でした。
1904年に火災で街が焼失し、当時の最先端であったドイツの建築様式を取り入れて街を再興したそう。
振り向けば海の向こうにSunnmøreアルプスが見えるのもとっても良いです。
眺めたのはここから
1泊しかしないのがもったいないなと思ってしまいました。
ÅlesundではAirbnbで予約した宿に1泊しました。
6日目(3月28日):Vallahornet(830m)
・天気:曇り時々晴れ
・駐車場:10台程度
・通行料・駐車料金:なし
・登山口の標高:144m
・山頂の標高:830m
・距離:10km
・獲得標高:690m
ルート
Google Map
駐車場
同じ駐車場から3つの山にアクセス可能
昼前から部分的に晴れ間の出る予報。
フェリーで渡ってØrstaという街へ行きました。
周りをフィヨルドにかこまれた小さな街です。
今回目指すのはVallahornet(830m)。
北にあるSaudehornet(1303m)の前衛のような山です。
西にはNivane(940m)という山もあり、この3つの山はいずれも同じ駐車場から山スキーができます。
林道は久しぶりに背負ってスタート
駐車場の標高は140m。
3月末はさすがに雪がなく、背負ってスタートしました。
林道を歩いていくと標高300mちょっとくらいでようやくまとまって雪が出始めました。
さらにしばらく林道沿いを進むとNivaneとの分岐が出てきます。
Vallahornetまでの間にいくつか沢が入っていますが、下の方は割れているので標高をあげてからスノーブリッジを渡りました。
後ろから続々ほかのパーティーがやってきて、私たち以外はみんなSaudehornetに行きました。
ここも候補に入っていましたが、私が細尾根を歩くのが嫌だったのでパス…。
1000m以下とは思えない景色
山頂到着。830mからの景色とは思えない展望。
Sunnmøreの山々はやはりシャキシャキしたかっこいい山が多いです。
フィヨルドも見えました。
だんだん晴れてくるかな?と思いきや、むしろガスに巻かれ始めて下山は一時真っ白。
登った時にいくつかデブリがあるのも見ていて、滑走時もアンモナイトがゴロゴロ発生して嫌な感じ。
なるべく登って状況が分かっているところを滑って帰りましたが、板掴みっぽいものにも遭遇してTHE春スキーという感じの滑走でした。
強い人たちの謎の共通点
途中、ロープとダブルアックス持った2人組とすれ違い、彼らはSaudehornet方面に向かっていきました。
下山で一緒になったのでどこ登ったの?と聞いたら、本当は山頂直下の壁をアイスクライミングして登り上げるつもりだったものの、今回は気温があがって氷の状態が良くなかったので結局スキーで登り上げたとのことでした。
この辺の山域はある意味ノルウェーらしくない、というか、ノルウェーによくある平らな山ではないので、そういう山行する人にとっても魅力的なんだと思います。
見るからに強そうで熟練感漂う二人組でしたが、こういう人たちって山行中の動きどうこう以前に、準備と片付けが異常に早いんですよね…。
下山のタイミングはほぼ同じだったのに車についてから5分も経たないうちに去っていきました。
こういうのは日本にいてもノルウェーにいても同じだな、と思ってちょっと面白かったです。
かたや椅子だしてコーラ飲んで一息ついて、のんびり帰る私たち…。
DNT Kolåstindhytta泊
この日は久しぶりにDNT hytta泊。
無人のキャビンですが、まさかの今まで泊まったDNT hyttaの中でも一番と言っていいくらいの設備の充実具合。
冷蔵庫、食洗器、洗濯機、シャワー、靴の乾燥機、ヒーターがありました。
普通の宿と変わりません。もはや山小屋ではないですね。
大体ノルウェーでは普通の宿を予約しようと思うと1,000krくらいはかかりますが、DNTの無人キャビンは一律315kr/人。
電気もないような場所も同じ金額と考えるとこのDNThyttaはすごくお得に感じます。
薪ストーブで暖を取り、ろうそくの明かりで過ごすKoseligなHyttaも好きなのですが、こういう便利なDNThyttaもあるんだ…と新しい世界が広がった感じでした。
このHyttaで会った人たちはなかなか面白い人が多く、ノルウェー人夫婦はHjørundfjorden rundtというフィヨルド周りにある山々を周回するツアールートに挑戦していました。彼らはベルゲン在住で去年のイースターに初めてSunnmøreを訪れて、この山域のすばらしさに感動して再訪したとのこと。
また、フランス人のお兄さんが泊まっていたのですが、彼は北フランスからバンでやってきて、6月までノルウェーの色んなところで山スキーしながら過ごすと言っていました。うらやましい…!
7日目(3月29日):Blæja(1420m)
・天気:曇りのち晴れ
・駐車場:民家近くに10台程度
・駐車料金:50Kr
・登山口の標高:345m
・山頂の標高:1420m
・距離:14.8km
・獲得標高:1100m
ルート
Googleマップ
今日も担いでスタート
この日は天候が回復するお昼にスタート。
3月末となるともうすでに結構日が長く、日の入りは18:30頃なのでこのくらいの時間からスタートする人もそこそこいます。
農場を管理している家の人が駐車場を貸し出しているようです。
Vippsで入金して出発。
トイレは家の中にあるよ、と看板にあったので借りれるのでしょう。
今日も今日とて出だしは担ぎです。
この日は気温が高くて、周りの山々から落石か氷が落ちたと思われる爆音が何度か聞こえてきました。雷が落ちるような音でした。なんとおっかない…。
山頂から広がるフィヨルドの大展望
山頂につくまでは周りの山々が見えるだけ(とはいえそれも美しいけど…)ですが、山頂に到着するとフィヨルドが見えるようになります。
裏を返すと山頂に登らないとこの景色は見えないので、この山は途中で登るのをやめられない山ですね。
標高差1,100m、久しぶりにちょっと長めのルートで達成感がありました。
山頂は雪庇が出ていて向こうは崖なので、あまり端を攻めすぎないように注意。
滑走は修行
3分の2くらいは重たくて曲がれない雪でした。
阿鼻叫喚しながらおりました。
下の方でようやくしゃばしゃばになってきてまともに滑れるようになりました。
春なのでしょうがない。
最後、歩く距離を減らしたくてぎりぎりまで滑って攻めた夫は石にひっかかって農場の芝生に吹っ飛んでいきました。
多分ヒツジのうんちを何個か踏んでると思います。
翌日は数日前に教えてもらったガイランゲルフィヨルド近くのKviteggaに登ろう、ということで、フィヨルドの近くでテント泊しました。
8日目(3月30日):Kvitegga(1489m)
・天気:晴れのち曇り
・駐車場:ビューポイントの駐車場、向かい側の道路に50台程度
・通行料・駐車料金:なし
・登山口の標高:320m
・山頂の標高:1489m(今回は1100mまで)
・距離:11km
・獲得標高:780m
ルート
Googleマップ
駐車場
世界遺産ガイランゲルフィヨルドに向けて滑りこむ
今回は1489mのKviteggaですが、実はSunnmøreの最高峰も同じ名前のKvitegga(1717m)。
しかも結構近くの山。
なぜこんな近くに同じ名前の山が二つ?と思いましたが理由はよく分からず…。
ビューポイント付近に車を停めて出発。
駐車場にトイレがあります。
つづらおりの道を板を担いで登っていきます。
担ぐ時間は今回が一番長め。
標高差300m分くらいは背負って歩きました。
まだ朝早く、曇りがちで日射の影響もないので雪はしまっていて登りやすい&滑りやすい。
天気が崩れる前に1,100mあたりで滑走モードに切り替え。
世界遺産ガイランゲルフィヨルドに向かって滑り込むのは気持ち良かったです。
雪も良い感じにザラメっぽい感じでした。
下山した後はHellesyltからガイランゲルフィヨルドをフェリーで渡りました。
ここは観光客も多いのでチケットは事前予約制。
ここから予約しました。
The Fjords | Store reiseopplevelser
DNT Kaldhusseter泊
DNT Kaldhusseterに宿泊。
夏の間は有人キャビンのようですが、冬は無人。
今回のDNThyttaもなんともモダンな感じで、冷蔵庫、ヒーター、シャワーあり。
大きな窓と吹き抜け天井の雰囲気良いHyttaでした。
DNT Sunnmøre恐るべし…。
今回はオーナー一家が泊まっていて、夏にもまた来てね~と言われました。
高山病にならないアルプス
ノルウェーでアルプスと名の付く有名な山域はSunnmøre AlpsとLyngen Alps(トロムソ)の2か所。
どちらも標高2000mに満たない山ばかりで、そこまで高い山があるわけではない山域ですが、海やフィヨルドに囲まれており、私たちは海抜0m近くから見上げることになるのでとっても大きな山が連なっているように感じます。
2月にインスブルックで見た標高3000m以上の山々も、見ているのは2000m程度の場所からなので、場所によってはSunnmøreの山々の方が大きく感じるくらいでした。
高山病になりやすい人間にとっては、この景色を拝めるのに高山病になる心配がないのが本当にうれしい山域です。
また標高が低いので雪解けが早い一方、気温が下がりすぎてガチガチに凍ることもJotunheimenなどより少ないのでは?と推察します。
意外に厳冬期も良い感じに滑れるところが多いのやもしれません。
今回は3月末に訪れましたが、昨年のようにイースターが4月初旬からスタートする場合は担ぐ時間が今より長くなる場所が増えそうなので、できれば2~3月くらいに訪れたい山域です。
フィヨルドからそびえたつような山々が本当に美しい山域でした。
一回来たら忘れられません。
遠くても必ずまた滑りにこようと思った場所になりました。