しろくま野遊びラボ

ノルウェーオスロ在住 自然豊かな雪国でのアウトドア記録

ノルウェーに3か月住んでみて①:自分にとって心地いい暮らしって何だろう?

ノルウェーに来てからあっという間に3か月が経ちました。

ようやく海外旅行気分も抜けてきて、船便で送った荷物も揃い、見慣れた場所や物が増えてきて、穏やかに生活しています。

 

いままで、「1週間」・「1か月」を書きましたが、今回は「3か月住んでみて」です。

は長くなったので①、②に分けました。

 

今回はノルウェーに来て、自分にとって心地いい暮らしを考えた話です。

「選択肢の少ない暮らし」は案外悪くないなあと思ったので、書き残しておこうと思います。

 

 

選択肢が少ない暮らしは不便だけど、悪くない

ノルウェーに来てびっくりしたのが、お店や、商品の種類の少なさ。

ノルウェーという国全体で北海道くらいの人口しかいないので、これはしょうがない気もしますが、首都なのにこんなにこじんまりしているのってノルウェーくらいなのでは…。と思ったりします。

 

家電量販店ならElkjøpかPOWER、キッチン用品はKitch’n、日用品はnormalかEuropris…などなど、選べるチェーン店の種類は多くても3つくらい…?

 

そして、どこのショッピングモールに行っても、入っているお店の種類がほぼ変わりません。

商品の選択肢も日本ほど多くありません。

 

また、Amazonなどの大型通販サイトはないので、ネットショッピングで手に入るものも限られます。(隣国スウェーデンにはあります)

 

対して日本。

ドラッグストアは、マツキヨ、ココカラファイン、ウエルシア、ツルハ、その他etc…。

電気屋ならヤマダ、ヨドバシ、ケーズ、ノジマ、その他etc…。

 

お店の種類も、商品も、ポイントカードも無限にあります。

その上、ネット通販のサイトも沢山あるので、店も、商品も、価格も、とにかく比較して、ベストチョイスを選ぼうと努力していました。

 

ノルウェーの店や商品の選択肢の少なさは、なにを探しても必ず手に入れることができる日本の環境から比べると、不便なことも多々あります。

しかしながら、選択肢が多いのはメリットばかりでない、と気が付いたのはノルウェーに住んでからです。

 

私にとっては今の選択肢が少ない暮らしが意外と楽で、心地よく感じています。

 

決断疲れ、選択のパラドックス

ベストチョイスをするために、実店舗を見て、楽天を見て、Amazonを見て、色んなスペックや口コミを比較して…と、選ぶ作業は、楽しい反面、結構な労力です。

 

さらに、つらいのが、選んだあとに後悔すること。

自分が選んだものの他に、もっと良い商品やお店があったとき、「あー、やっぱりこうしておけばよかった!」と、悲しい気持ちになることがよくありました。

 

日本ではこれが当たり前だったので特に気には留めていなかったのですが、ノルウェーの選択肢の少ない生活を経験すると、不便な反面、日々の迷いや後悔が少なくなるのって気が楽だなあ。とも思います。

 

色々比較検討したくてもそれしか売っていないのですから、迷わないし、失敗のしようがありません。

 

「スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていた」というのは有名な話ですが、選択肢を少なくする=日々の決断の回数を減らすことで、意思決定に割く時間やエネルギーを減らすことが彼の目的だったと言われています。

 

「多すぎる選択肢は心理的な負担を与える」という心理学の考え方もあるそうです。

この考え方を提唱したバリー・シュワルツ氏は、「選択肢の多さが、逆に幸福度を下げている」といいます。

 

ちなみに彼のTEDは購買行動における選択肢だけでなく、人生の選択肢についても話していて興味深いです。

「The paradox of choice」(2005年)

www.ted.com

 

日本にいた時の選択肢の多い暮らしは、それはそれは便利で楽しかったです。

ただ、思い返すと、今の暮らしより常に色んなことを考えて、後悔して、疲れていたのかもなあ。とも思います。

 

かといって、何もない田舎には住みたいと思えないし、服は色々着たいし、やっぱりAmazonは欲しい!という気持ちはいつもあるのですが…。

 

このノルウェーの選択肢の少ない、ちょっと不便に見える生活を、これはこれで案外良いかな。と思えたのは良い経験でした。

 

逆に選択肢の多い店のジャンル

逆に選択肢が多いジャンルを考えるとノルウェーらしさが見える気がします。

 

3か月住んだ体感だと、家具屋と、照明屋と、アウトドア用品の店はいっぱいある印象です。

 

アウトドア用品が多い理由は、なんといっても自然豊かで、自然と親しむのが得意な人が多い国だからだと思います。

 

では家具屋と照明屋は?というと、これは、つらくて長い冬を乗り越えるために育まれた北欧の住環境が背景だとよく言われます。

 

「衣食住」の中で、とにかく「住」に全振りした暮らしをしている人が多い印象なのですが、家の中をいかに居心地よくできるかどうかは、ノルウェーをはじめ、北欧諸国で暮らす上では、もはや死活問題だと思うのです。

 

これはノルウェーで一冬を越してみて、私も実感しました。

 

いくら外で遊ぶのが好きな私でも、とにかく寒くて、日も短いので、必然的に家にこもらないといけない時間が増えました。

やっぱり暗い中で家にいると気持ちも落ち込みます。

オスロでもこれなので、もっと北の方で、極夜になるようなところに住んでいる人は、さらにそんな時間が多いのでしょう…。

 

そんな環境なので、せめて家のインテリアを充実させたり、温かみのある間接照明を沢山使って、ヒュッゲな暮らしを目指すんだと思います。

※ヒュッゲ(HYGGE)=心地いい場所・時間、ほっこりする気持ちなどを表すデンマーク語

 

食事はとにかく質素ですし、服もアウトドアブランドを着ている人が多いような国なのですが、北欧家具、北欧食器などがブームになるほど発展した背景には、厳しい冬を乗り越えるための工夫があるのだなあ。と、住んでみて改めて思いました。

我が家は家具付き物件なのでほぼオーナーのセンスにお任せ

 

自分にとって心地いい暮らしを知る

私にとっては、「人が少なくて、自然との距離が近い、コンパクトな街」が心地よく暮らせる場所なのかなあ。と思います。

新潟に住んでいた時からなんとなく思っていたことですが、ノルウェー・オスロに住んでから、やっぱり私はこういう暮らしが性に合っているんだろうな。と強く思いました。

 

そして、東京の近くで幼少期~学生時代を過ごしたので「こんな便利な生活を手放すなんて!」と思っていた時期もありましたが、ノルウェーに住んでみて、不便に見える選択肢の少ない暮らしも案外好きかも。と気が付くことができました。

 

もちろんいい面ばかりではなくて、食事の面、天気、インフラ、日本の家族や友人との距離感など、「もっとこうだったらいいのにな~。」と思うこともそれなりにあります。

しかしながら、そういう自分には合わない部分も、きっとノルウェーに住まなければ知ることもなかったでしょう。

 

この国に住んで新しいことに触れる度、自分はどんなことが好きで、逆に何が苦手なのか?を再考するきっかけをもらっています。

 

今回は自分にとっての心地いい暮らしが何かをまた少し知る機会になりました。

 

以上、①は真面目に、ノルウェー暮らしでの気付き・学びを書きました。

②はもっと雑記の予定です。

 

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