DNTキャビンに泊まって山スキーとクロカンな週末でした。
山スキーは悲しきかな、目的のHøgevardeには行き損ねてしまいました。
景色はいいので気持ちいい日だったのですが、ノルウェーでの冬の遊び方の最適解はなんだろうと改めて考えた週末でした。
概要
・日程:2023年2月18日
・天気:晴れ
・アクセス:オスロから車で90分
・駐車場:あり(20台程度)
・通行料:60NOK
・距離:6.05km
・標高差:250m
ルート
行きたかったHøgevardeはこの1459mの山です。
標高差600mくらいの山行になる予定でした。
Googlemap
ここに駐車してスタートでした。
Høgevardeを目指す
出発
2月に入りだいぶ日が長くなってきて、朝7時くらいから明るくなるようになりました。
今日は朝9時に駐車場着。車は3台。
私たちより少し前に着いたであろう、4人パーティーが先行して出発していきました。
予報通り快晴。風は強めです。
前日に降った雪はほとんど風で飛ばされていて、出だしからカリカリ。
斜度がない雪原をだらだら歩いているだけなので全く怖くはないのですが、登りはじめたらクトーをつけようかなーと思うような感じです。
方針変更
近くまで来ると山頂から雪煙が舞いまくっているのが見えます。
滑ろうと思っていた斜面もアイスバーンな雰囲気。
これは登ることはできても、滑りは全く楽しくないパターン。クロカンに切り替えた方がいいかもねー?と夫と相談。
どうやら先行パーティーも、中腹で歩みが止まっており、今後の作戦会議中な様子。
悩んでいると、右前方にちょっとした樹林帯と、新雪が積もっている感じの斜面を発見。
ちょうどいいし、今日はHøgevardeはやめて、この辺で回そうか、と方針変更。
樹林帯はやはり柔らかい雪が溜まっていて、風も避けられてほっとします。
そんな樹林帯もわずか100mちょっとで終了して、再び少しガリガリしたエリアに。
立派なシュカブラができていました。
前方に見えるのはRundenatten(1121m)
Rundenattenを回り込んで風下で雪が溜まっていそうな場所や、今後の山スキー候補地を探しながら歩きましたが、めぼしい成果はなく。
若干雪が溜まっていそうな斜面を見つけたのでFagerlinattan(1230m)の肩で本日は終了。
景色を眺めて滑ります。
先行の4人パーティーもHøgevardeにはいかなかったよう。
いざ、滑ったものの…
滑りは正直、イマイチ!
新雪の積もった斜面は、一見良さそうですがパックしていてターンしにくく、ガリガリバーンも多数。
期待していた樹林帯も、歩いている時は良さそうだったけど、軽くない…。
樹林帯で何本か回そうかと思っていたけれど、滑ってみたらあまりにイマイチで、悲しくなるのを通り越して笑ってしまいました。
体調を崩していたり、雪が降らなかったりして、なんだかんだ1ヶ月ぶりの山スキー。
もっと歩きたいし、滑りたいなー。と、消化不良な感じは否めません。
樹林帯でカップラーメンを食べながら反省会をしたあと、車に戻ったのは13時くらい。
この時間からも山スキー装備で登っていく人がたくさんいました。
どうやらHøgevardeの山頂の脇にもDNTヒュッテがあり、そちらに泊まる人が多い様子。
ヒュッテからの夕日がとっても綺麗だそうなので、春になったら泊まりに行きたいなーと思います。
ノルウェーの厳冬期の過ごし方の最適解とは
本日の反省会の内容です。
前回行ったVikerfjellのSvarttjermskollenが良い印象だったので、「諦めていた厳冬期でも山スキーができるぞー!」とテンションが上がっていたものの、あの日はいわゆる"THE DAY"だったのだと思い知らされました。
思い返すとあのタイミングは、風が弱くていい感じに雪が積もっていたのです。
ノルウェーで快適な山スキーをする難しさ
やはりノルウェーの山は、森林限界をあっという間に超えるので、どうしても風や気温の影響を受けやすく、厳冬期に条件のいい日を当てるのは難しいのだと思います。
風が強いと雪は飛ぶし、パックされるし。積もりすぎると雪崩れるし。
最近は少し暖かい日も増えてきたので、日中の日射や昇温で溶けた雪が、夜中にがちがちに凍ります。
これはノルウェーだけでなく日本にいても一緒だと思います。
夫は巻機山を例に出していましたが、厳冬期の巻機山で、山頂まで行けて、気持ちよく滑れる条件の日の方が稀だと思うのです。
ただ、日本なら樹林帯だけでそれなりに標高を上げることができるので、上がガリガリだったり、視界がなくても、樹林帯で十分満足する山スキーができます。
巻機山なら山頂まで行かなくても、井戸尾根のブナ林のツリーランだけでめちゃめちゃ楽しい、みたいなことでしょうか。
ノルウェーは、針葉樹ばかりで枝葉がうるさかったりツリーホールが大きかったりするので、快適なツリーランがしにくいのが難点です。
そもそもオスロ近郊でも標高800m弱程度までしか木が生えていないですし、標高0mに滑れるほどの雪が積もっているわけでもないので、ツリーランできる距離は相当短いのです…。
まだまだノルウェーでの山スキーも場数を踏んでいないので、「ノルウェーの山スキーとは!」と大きなことを語るには時期尚早な気もしますが、現時点の印象だと、ノルウェーの厳冬期の山スキーは、不可能ではないですが、楽しく登って滑れる日はほんの一握りなのかなと思っています。
そしてクロスカントリースキーが国民的なアクティビティになっているのは、この国の地形や気候にフィットしている遊びだからなのだと痛感しました。
クロカンは山スキーの代替アクティビティになるのか
正直、クロカンを始めた今も、「山スキーより楽しい遊びはない!」と、個人的には思っています。
しかしながら、なんとかして山スキーをしに行きたいという気持ちもあるものの、この国での厳冬期の山スキーは、諸々の労力に対して、得られる楽しみが少ないと思うのです。
山スキーに行くにあたっては、天候、ルーファイ、装備等々、それなりに気を使うことが多いのに対して、クロカンはとにかく気楽です。
山スキーと同じように滑ることはできませんが、「自然の中で体を動かす」という観点では、厳冬期に関しては山スキーよりもクロカンの方が長い時間楽しめるので充実感が得られるような気がします。
完全に私見ですが、スキー場で満足できず、パウダー滑走を求めて山スキーをしている人にとって、クロカンは代替のアクティビティとして物足りないかもしれません。
対して、山スキーを「スキーという道具を使った登山」だと捉えている人にとってはクロカンとの相性はいいのかなと思っています。
もちろん、山スキーと比べてルートファインディングしながら歩いたりする冒険感や、苦労して登っていく達成感・緊張感は減りますが、人の少ない静かな森を自分の足で歩く気持ちよさはクロカンでも味わえるので、厳冬期は無理して山スキーにこだわりすぎなくていいのかなと今回は思いました。
日本の山スキー環境のすばらしさ
クロカンが楽しくない。というわけでは決してなく、クロカンもかなり楽しいのです。
しかしながら、山スキーは、あまりにも、中毒的な楽しさがあります。
ノルウェーに来てから、日本は最高の山スキー環境だったと心から思います。
気温がそんなに低いわけでもないのに、あれだけの雪が降る。
ノルウェーの平らな地形と違って、スキーに適した斜面のある山が多くある。
スキーに適した気温と日照時間。
日本に住んでいるなら世界の人々が憧れるJAPOWを、たくさん滑るべきです。
最後に
日本の仲間たちのパウダー滑走の記録を見ながら歯ぎしりする日々ですが、山スキーについては、日が伸びて雪の安定した春先に、ロングルートの大冒険をして取り返そう!と思っています。
ノルウェーもだいぶ春らしくなってきたので、そんなに遠い日の話でもないでしょう。
今回はいろいろ考えるきっかけをもらえた山スキーでした。
反省会のあとはDNTキャビンに泊まってのんびりして、次の日にクロカンでがっつり歩きました。
詳細は次の記事で!